中小企業の社長のためのWordPress運用 完全ガイド|AIで速くなること、ならないこと

WordPressでサイトを作った。ログインもできる。記事も出せる。
そこで止まっている会社が、たくさんあります。
止まる理由は、やる気でも予算でもありません。次に何をやればいいかが分からないからです。アクセス解析は開いたことがある。でもどの数字を見て、何を判断すればいいのか分からない。記事は書いた方がいいらしいが、何について書けばいいのか分からない。書いた記事が効いているのかも分からない。
この記事は、その状態から抜けて、社内で運用を回せるようになるまでの手順をまとめたものです。
運用サイクルという考え方
Webサイトの運用は、5つの工程が輪になったものです。
決める → 書く → 出す → 測る → また決める
多くの会社は「書く」と「出す」だけをやっています。そして「測る」と「また決める」が抜けている。だから、書いても効いているか分からず、次に何を書けばいいかも分からず、やがて止まります。
AIはこの輪を劇的に速くします。ただし、速くなる工程と、速くならない工程があります。 ここを取り違えると、一番よくある失敗に直行します。
AIで速くなること、ならないこと
速くなること
- 記事の構成を考える
- 下書きを書く
- 既存の記事をリライトする
- 検索データを読んで、次にやることを整理する
- 画像の設定やカテゴリ整理などの作業
これらは、Claude や ChatGPT に指示すれば数分で終わります。これまで1記事に丸一日かかっていたものが、2時間になる。この差は本物です。
速くならないこと
- 自社が実際にやっている仕事の中身
- お客さんが実際に口にした言葉
- 過去の失敗と、そこから学んだこと
- 何を優先するかの判断
これはAIの中に存在しません。社長と現場の頭の中にしかない。
「中身のない記事を量産する」が効かない理由
AIで速く書けるようになると、多くの会社が「じゃあ100記事書こう」となります。これは効きません。
Googleは、検索結果のランキング操作を主な目的として自動化(AIを含む)でコンテンツを生成することは、スパムポリシー違反にあたるとしています。AIを使うこと自体が問題なのではなく、中身のないページを量産することが問題です。
Googleの生成AIコンテンツに関する案内でも、付加価値を加えずに多数のページを生成する行為は、スケールされたコンテンツの不正使用に関するポリシーへ抵触する可能性があると説明されています。無編集で大量生成されたAIコンテンツはスパム扱いになる一方、適切に編集・監修されたAI支援コンテンツは問題なく評価されます。
もうひとつ現実的なリスクがあります。AIは存在しない法令を引用したり、実在しない統計を作り出したりすることがあります。そのまま公開すると、誤った情報が自社サイトの名前で世に出てしまいます。取引先が読む可能性のあるサイトで、これは事故です。
結論はシンプルです。 AIは下書きまで。そこに自社の事実と経験を入れて、人が確認して出す。この形なら速くて、かつ安全です。
ステップ1|まず、測れる状態にする
記事を書く前にここをやってください。ここを飛ばすと、この先すべてが感覚論になります。
- Google Search Console に登録する — どんな検索語で表示され、何回クリックされたかが分かります。無料
- GA4(Googleアナリティクス)を入れる — サイト内でどのページが読まれているかが分かります。無料
- コンバージョン(成果地点)を設定する — ここが一番飛ばされます
3つ目を説明します。問い合わせフォームの送信完了を「成果」としてGA4に登録する作業です。これをやらないと、「アクセスは増えたが、問い合わせが増えたかは分からない」状態のままになります。
正直に書くと、当社もここを最初に飛ばしていました。計測を始めてから「成果地点が未設定です」と自社ツールに指摘されて気づいた、という状態です。
設定方法が分からない場合は、Search Console と GA4 の画面をスクリーンショットに撮って、Claude や ChatGPT に「この画面でフォーム送信をコンバージョンとして設定する手順を教えて」と聞けば、手順が出てきます。ここは自力でできます。
ステップ2|何について書くかを決める
やってはいけないこと:思いついたテーマで書く
自社が書きたいことと、お客さんが検索していることは、だいたいズレています。
やること:検索されている言葉から逆算する
- 自社の商品・サービスについて、お客さんが使いそうな言葉を20個書き出す(これは社長にしかできません)
- その20個をAIに渡して、「この会社の見込み客が実際に検索しそうな語を、悩みの段階別に整理して」と指示する
- 出てきた候補を Search Console で確認する。既に少しでも表示されている語があれば、そこが最短距離です
ここで実例を一つ。当社グループでは6サイトを運用しています。直近28日間の実測値です。
| サイト | 検索クリック | 検索表示 | 平均掲載順位 |
|---|---|---|---|
| 健康情報サイト | 777 | 14,008 | 6.9位 |
| 卸・製造サイト | 140 | 3,703 | 5.7位 |
| 当社サイト(新規) | 6 | 274 | 27.9位 |
一番上のサイトは、お客さんが実際に検索する具体的な悩みの言葉(「〇〇を増やす方法」のような語)で記事を積み上げた結果、平均6.9位まで来ています。
一方、当社サイトは平均27.9位。3ページ目です。しかも上位で表示されている検索語は、当社の事業とほとんど関係のない言葉でした。表示されているのに、届けたい相手に届いていない。 これがステップ2を飛ばした結果です。
ステップ3|AIと一緒に書く
ここが一番効率が変わるところです。
AIに渡すもの
- 狙う検索語と、その語を検索する人の状況
- 自社がその分野で実際にやっていること(案件の内容、よくある相談、具体的な数字)
- 過去にお客さんから聞いた質問・不満
- 記事の目的(問い合わせにつなげたいのか、理解してもらいたいのか)
やりとりの順番
- 「この読者に対して、この記事の構成案を3パターン出して」
- 構成を選び、必要なら自分で直す
- 「この構成で下書きを書いて。ただし事実は私が渡したものだけを使い、推測で数字を入れないで」
- 出てきた下書きを必ず全文読む。自社の実態と違うところを直す
- 自分の経験・実例・失敗談を1〜2個、自分の言葉で追加する
5番が記事の価値を決めます。ここがない記事は、他社の記事と見分けがつきません。
所要時間の目安は、1記事あたり1.5〜3時間。従来の1日仕事と比べると、確実に速い。ただし「AIに投げて30分で公開」は、上で書いた理由でおすすめしません。
WordPressへの投入を速くする
記事の入稿、画像設定、カテゴリ分けといった作業も自動化できます。Codex のようなコーディング支援ツールを使えば、WordPressの記事作成から公開までの一連の作業をコマンドで回せるようになります。ここは技術寄りなので、最初は手作業で構いません。運用が回り始めてから取り組んでください。
ステップ4|出した後に測る
公開して終わりにしないでください。ここが運用の心臓部です。
見るタイミング:公開から3〜4週間後。Googleが記事を評価するのに時間がかかるので、1週間では判断できません。
見る場所:Search Console で、その記事が表示されている検索語と平均掲載順位。
順位によって、やることが違います。 ここを間違えている人が非常に多い。
| 平均順位 | 状態 | やること |
|---|---|---|
| 1〜10位 | 見られている | タイトルと説明文を改善してクリック率を上げる |
| 11〜20位 | あと一歩 | 記事の内容を厚くする。実例や具体的な数字を足す |
| 21位以下 | 届いていない | タイトルをいじっても無意味。その語で勝負するか、別の語を狙うかを判断し直す |
3行目が重要です。27位の記事のタイトルを直しても、クリック率はほぼ動きません。 そもそも誰も3ページ目まで見ないからです。ここで必要なのは、記事を根本的に良くするか、競合の少ない別の言葉に切り替えるかの判断です。
ステップ5|続く形にする
中小企業のWeb担当は、たいてい総務や営業との兼任です。続かない形にすると必ず止まります。
現実的な頻度
- 記事:月2本(週1本は続きません)
- 数字の確認:月1回、30分
- リライト:3ヶ月に1回、過去記事を2〜3本
これで年24本。2年で50本弱。中小企業のサイトとしては十分な蓄積になります。
社内に溜める
書いた記事、お客さんからの質問、うまくいった提案。これを1箇所に溜めてください。溜まるほど、AIに渡せる材料が増え、次の記事の精度が上がります。1年やると、「自社のことを知っているAI」に近い状態ができます。
これが続けた人だけが得られる差です。記事の本数ではなく、蓄積の質で差がつきます。
よくある失敗
AIに書かせて、読まずに公開する
事実誤りがそのまま出ます。取引先が読むサイトでこれは致命的です。Googleは、価値を付加せずに生成AI等で多くのページを作る行為は、スパムポリシーに違反する可能性があると案内しています。
キーワードを詰め込む
10年前のやり方です。今は逆効果になります。
測らずに書き続ける
一番多い失敗。半年書いて、何が効いたか分からず、やめる。
全部を自社でやろうとする
判断と文章は社内でしかできませんが、計測設定や技術的な部分は外に出していい領域です。全部抱えると止まります。
成果が出る前にやめる
検索から成果が出始めるまで、早くて3ヶ月、通常は6ヶ月〜1年。ここを知らずに始めると、3ヶ月でやめます。
まとめ
- AIで速くなるのは「下書き」と「分析の整理」。速くならないのは「自社の事実」と「判断」
- 中身のない記事の量産は、Googleのガイドライン上もリスクがあり、実際に効かない
- 書く前に、測れる状態をつくる(特にコンバージョン設定)
- 順位帯によって打ち手が違う。21位以下でタイトルを直しても意味がない
- 月2本、1年続ける。それが一番の近道
当社では、この運用サイクルを1画面で回すためのツール「SITUNE」を自社開発し、グループ6サイトで実際に運用しています。この記事の数字も、そのツールから取ったものです。
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