中小企業の社長のためのWordPress 基礎の基礎|ログインから、壊さない触り方まで

自社のサイトなのに、自分では何もできない。更新を頼むと3日待つ。だから頼まなくなる。
この記事は、その状態から抜けるための最初の一歩です。「ログイン画面が分からない」「入ったけど何が何だか分からない」の両方を扱います。専門知識は前提にしていません。
第0章|その前に。サイトは本当に自社のものか
ログインの話より先に、確認すべきことがあります。
Webサイトは3つの契約でできています。
| 要素 | 何か | 確認すること |
|---|---|---|
| ドメイン | サイトの住所(例:自社名.co.jp) | 誰の名義で契約しているか |
| サーバー | サイトの置き場所 | 誰の名義で契約しているか、月いくら払っているか |
| WordPress | サイトを動かすソフト | 管理者アカウントを誰が持っているか |
この3つが全部、制作会社の名義になっているケースがあります。 この状態だと、制作会社と揉めたときにサイトごと失います。実際に起きています。
3つとも自社名義であることを確認してください。そうでなければ、名義変更を依頼するところから始まります。言いづらければ「社内の管理体制を整理したい」で十分通ります。
確認方法が分からない場合:請求書を見てください。ドメイン代・サーバー代が自社から直接支払われていれば自社契約、制作会社への保守費に含まれていれば要確認です。
第1章|管理画面に入る
ログイン画面のURL
多くの場合、これです。
https://自社のドメイン/wp-admin/
または
https://自社のドメイン/wp-login.php
これで開けば、そのサイトはWordPressで動いています。開かない場合は、セキュリティ対策でログインURLが変更されているか、WordPress以外で作られています。前者なら制作会社に聞いてください。
パスワードが分からないとき
ログイン画面の下に「パスワードをお忘れですか?」というリンクがあります。
そこに登録されているメールアドレスを入れると、再設定用のメールが届きます。
ここでの落とし穴が1つ。登録メールアドレスが、退職した社員のものや、制作会社のアドレスになっていることがよくあります。その場合は自力で再設定できません。制作会社に連絡するしかありません。
入れたら、真っ先にメールアドレスを社長自身のものに変えてください(やり方は第2章)。
アカウントを持っていないとき
制作会社にこう依頼します。
管理画面のアカウントを1つ発行してください。権限は「管理者」でお願いします。
これを断られたら、その制作会社との付き合い方を考え直した方がいいです。自社のサイトです。
権限の種類
WordPressには5段階の権限があります。覚えるのは2つだけで十分です。
- 管理者 — 全部できる。社長はこれを持つべき
- 編集者 — 記事の投稿・編集ができる。設定は触れない。担当者にはこれで十分
担当者に管理者権限を渡すと、設定を触って壊すリスクがあります。分けてください。
ログイン後、真っ先にブックマークする
管理画面に入れたら、その場でブックマークしてください。次に「ログイン画面のURLが分からない」で止まらないための保険です。
最低限、この2つ。
管理画面トップ:https://自社ドメイン/wp-admin/
新規投稿:https://自社ドメイン/wp-admin/post-new.php
2つ目は、記事を書くときに毎回クリックする場所に直接飛べます。管理画面を開いて「投稿」→「新規追加」と2回クリックする手間がなくなる。些細に見えますが、月2本書くなら年24回の短縮です。続けるためのハードルは、こういうところで下がります。
第2章|入って最初にやる3つ
ログインできたら、記事を書く前にこれをやります。
1. 更新を確認する
左のメニューの一番上、「ダッシュボード」→「更新」。
ここに「更新が必要です」と出ていたら、更新してください。WordPress本体、テーマ、プラグイン。
なぜ大事か:古いまま放置すると、セキュリティの穴から乗っ取られます。中小企業のサイトが改ざんされて、気づかないまま詐欺サイトへの踏み台にされる事故は、珍しくありません。
ただし注意:更新でサイトが壊れることがあります。だから次の2番を先にやってください。
2. バックアップの状態を確認する
サーバーの管理画面に、自動バックアップ機能があることが多いです(エックスサーバー、さくら、ロリポップなど、主要なサーバーには大体あります)。
確認すること:自動バックアップが有効か。何日分残るか。
有効になっていなければ、その場で有効にしてください。ここが一番安い保険です。
有効になっていない場合は、WordPressのプラグインでも取れます。ただし最初は、サーバー側の機能で足ります。
3. プロフィールとメールアドレスを自分のものにする
左メニューの「ユーザー」→「プロフィール」。
- メールアドレスを社長自身のものに変更
- パスワードを変更(使い回しは避ける)
これで、何かあったときに自分で復旧できる状態になります。
第3章|管理画面の地図
左メニューの各項目が何をする場所か。これだけ分かれば迷いません。
| メニュー | 何をする場所 | 触る頻度 |
|---|---|---|
| ダッシュボード | 全体の状況。更新の通知 | 月1回 |
| 投稿 | ブログ記事・お知らせを書く | 毎回 |
| メディア | 画像・PDFの置き場 | 毎回 |
| 固定ページ | 会社概要・サービス紹介など | たまに |
| コメント | 読者コメントの管理 | ほぼ不要 |
| 外観 | デザイン、メニュー、ウィジェット | 慎重に |
| プラグイン | 機能の追加 | 慎重に |
| ユーザー | アカウント管理 | たまに |
| 設定 | サイト全体の設定 | ほぼ触らない |
日常的に触るのは「投稿」と「メディア」だけです。 残りは慣れてから。
「投稿」と「固定ページ」の違い
ここで全員がつまずくので、はっきり書きます。
投稿(Post)
- 時系列で増えていくもの
- ブログ記事、お知らせ、事例紹介
- カテゴリやタグで分類できる
- 一覧ページに自動で並ぶ
固定ページ(Page)
- 時系列と関係なく、常にあるもの
- 会社概要、サービス紹介、お問い合わせ、プライバシーポリシー
- 分類されない
- メニューに手動で配置する
判断基準はシンプルです。 来月も再来月も同じ内容なら固定ページ。増えていくものなら投稿。
迷ったら投稿でいいです。後から変えるのは面倒ですが、不可能ではありません。
第4章|ブックマークとアカウントを整理する
WordPressの運用は、複数のサービスを行き来する作業です。管理画面だけでは完結しません。
- WordPress管理画面(記事を書く)
- サーバー管理画面(バックアップ、障害対応)
- ドメイン管理画面(更新、契約確認)
- Search Console(検索データを見る)
- GA4(サイト内の動きを見る)
このURLとログイン情報が散らばっていると、必要なときに辿り着けません。 そして「探すのが面倒」で運用が止まります。実際、止まる原因のかなりの部分がこれです。
フォルダを1つ作る
ブラウザのブックマークに、自社名のフォルダを作ってください。中に入れるのはこの6つ。
| 名前 | URL |
|---|---|
| ① 管理画面 | 自社ドメイン/wp-admin/ |
| ② 新規投稿 | 自社ドメイン/wp-admin/post-new.php |
| ③ 投稿一覧 | 自社ドメイン/wp-admin/edit.php |
| ④ サーバー管理画面 | 契約先のログインページ |
| ⑤ Search Console | search.google.com/search-console |
| ⑥ GA4 | analytics.google.com |
番号を頭につけて並び順を固定するのがコツです。ブックマークは放っておくと名前順で勝手に並び替わり、探す場所が毎回変わります。番号があれば位置が固定されるので、目で探さずに手が覚えます。
複数サイトを持っている場合
会社が複数のサイトを運営しているなら、サイトごとにフォルダを分けてください。 混ざると事故ります。
実際にあるミスが、A社のサイトを更新するつもりでB社のサイトを更新するというもの。複数サイトを管理していると必ず一度はやります。フォルダを分けて、ブックマーク名の頭にサイト名を入れておけば防げます。
ログイン情報の管理は1Password
やってはいけないこと
- Excelファイルにパスワードを書いてデスクトップに置く
- 全サービスで同じパスワードを使い回す
- 付箋でモニターに貼る
推奨は1Passwordです。月数百円で、ブラウザに入れておけば自動入力もしてくれます。ブックマークとパスワードが同時に解決します。
アカウントは人ごとに分けるのが原則なので、1Passwordも各自が自分のものを持つ形になります。社長は自分のアカウント情報を、担当者は自分のものを管理する。共有するのはパスワードではなく、権限です。
担当者が辞めても、入れる状態にしておく
中小企業でいちばん多いWeb事故は、ハッキングでも障害でもありません。担当者がいなくなって、誰もログインできなくなることです。
原因はだいたい同じで、管理者アカウントが1つしかなく、それが辞めた人のものだったというケース。パスワード再発行のメールがその人のアドレスに届き、誰も受け取れません。
対策はシンプルです。管理者を2人にしておくこと。
WordPressも、サーバーも、Google関連のサービスも、いまはユーザーごとにアカウントを発行して権限を渡す仕組みになっています。1つのアカウントを複数人で共有する使い方は、そもそも想定されていません。
だから、信頼できる人をもう1人、管理者として登録しておくのが唯一の現実解です。
| サービス | やること |
|---|---|
| WordPress | 管理者権限のユーザーを2人にする(社長+もう1人) |
| サーバー | 契約先に副管理者・サブアカウントの機能があれば追加。無ければ契約者情報を社長名義にしておく |
| Search Console / GA4 | 「ユーザーと権限」から、もう1人をオーナーまたは管理者として追加 |
| ドメイン | 契約者情報を会社・社長名義にする |
Search ConsoleとGA4は特に見落とされます。担当者が自分のGoogleアカウントで設定したまま辞めると、蓄積した計測データごと見られなくなります。 ここは今すぐ確認してください。
2人目に誰を入れるか。 社長自身が1人目に入るのが前提です。その上で、2人目は実際に手を動かす担当者。
担当者が辞めるときは、新しい担当者を追加してから、辞める人を削除する。この順番を守れば、常に2人以上いる状態が保てます。
第5章|記事を1本出してみる
読むより手を動かした方が早いので、練習用に1本作ります。
- 「投稿」→「新規追加」
- 上部にタイトルを入れる
- 本文を書く。改行するとブロックが分かれる(これがWordPressの基本単位)
- 右側のパネルでカテゴリを選ぶ
- 右側のアイキャッチ画像を設定する(一覧に表示される画像)
- 右上の「下書き保存」
- 右上の「プレビュー」で見た目を確認
- 問題なければ「公開」
画像の入れ方
本文の中で「+」ボタン → 「画像」 → アップロード。
注意点が1つ。 スマホやカメラで撮った画像をそのまま上げると、1枚5MBなどの巨大なファイルになり、サイトが重くなります。1枚200KB以下を目安に、アップロード前に縮小してください。
縮小ツールが分からなければ、「画像 圧縮」で検索すれば無料のWebツールが出てきます。
公開を取り消したいとき
公開後でも、右側の「公開状態」を「下書き」に戻せます。慌てて削除しないでください。
第6章|触ってはいけないところ
ここが、この記事で一番大事な章です。
社長が管理画面を触って壊すのは、だいたい決まった場所です。逆に言うと、ここさえ避ければ、かなり自由に触っても壊れません。
❌ 絶対に触らない
「外観」→「テーマファイルエディター」
「プラグイン」→「プラグインファイルエディター」
プログラムのコードを直接書き換える画面です。1文字間違えるとサイトが真っ白になり、管理画面にも入れなくなります。 復旧にはサーバーへのFTP接続が必要で、素人には手が出ません。
この2つは、開かないでください。
⚠️ 慎重に。分からなければ触らない
プラグインの削除
何のために入っているか分からないプラグインを消すと、サイトの一部が動かなくなります。「使ってなさそう」で消すのは危険。
テーマの変更
デザインの土台を丸ごと変える操作です。レイアウトが崩壊します。
「設定」→「パーマリンク設定」
記事のURLの形式を決める設定です。変更すると、既存の全記事のURLが変わり、検索エンジンからの流入が消えます。 一度決めたら二度と触らない。
「設定」→「一般」のサイトアドレス
間違えるとサイトにアクセスできなくなります。
⭕ 自由に触っていい
- 投稿の作成・編集・削除
- 画像のアップロード
- カテゴリ・タグの追加
- 固定ページの文章修正
- 自分のプロフィール変更
ここは壊れません。 安心して触ってください。間違えても直せます。
第7章|壊れたときと、外注に頼む線引き
まず落ち着く
サイトが表示されなくなっても、データが消えたわけではないことがほとんどです。
- 直前に何をしたか思い出す(更新した、プラグインを入れた、設定を変えた)
- その操作を元に戻せるなら戻す
- 戻せないなら、バックアップから復元(サーバーの管理画面から)
どうしても分からないときは、エラーメッセージの画面をスクリーンショットに撮って、Claude や ChatGPT に「WordPressでこのエラーが出た。原因と対処法を、非エンジニア向けに教えて」と聞いてください。かなりの確率で答えが出ます。
ただし、提示されたコードを意味も分からずコピペするのはやめてください。 そこから先は専門家の領域です。
自分でやること、外注すること
| 自社でやる | 外注する |
|---|---|
| 記事を書く・更新する | サーバーの引っ越し |
| 画像を差し替える | デザインの大きな変更 |
| 会社情報の修正 | 表示されなくなったときの復旧 |
| 日常的な更新作業 | セキュリティ事故の対応 |
| 何を書くか決める | 新機能の追加 |
判断基準:管理画面の中で完結する作業は自社で。サーバーやコードに触る作業は外注。
この線引きができると、保守費の中身も見えるようになります。「毎月3万円払っているが、何をしてもらっているのか」を、根拠を持って聞けるようになります。
ここから先
ログインできて、記事が出せて、壊さない触り方が分かった。ここまでが基礎です。
次に来る問いは「で、何を書けばいいのか」「書いた記事は効いているのか」です。ここからが運用の話になります。
AIを使うと、この運用サイクルは劇的に速くなります。ただし、速くなる工程とならない工程があり、そこを取り違えると「中身のない記事を量産して、何も起きない」という一番よくある失敗に直行します。
続きは、中小企業の社長のためのWordPress運用 完全ガイド|AIで速くなること、ならないことで解説しています。
その仕事、もっと良くできるかも。
AIで変えたい業務を、ひとつ教えてください。
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